家族と過ごす時間を大切にするため、業務改善をチーム体制で実現。
株式会社 アーサ
代表取締役 櫻川 幸親さん
会社の事業について教えていただけますか?
父が建築設計事務所を1987年に創業し、特に耐震診断・構造設計の依頼に応えながら約40年になろうとしています。
現在は、従業員が10名、建築の意匠と構造設計の両方を行っている設計事務所です。
事業承継される前のお仕事や、承継のきっかけは?
元々システムエンジニアとして県内で働いていました。いわゆるSEという仕事です。
承継については全く考えていなかったのですが、システムエンジニアという仕事は夜中まで働くことが多い仕事で、結婚して子どもができたと分かった時も、朝8時から夜中過ぎまで家にいないという生活をしていました。家族と過ごせる時間をもっとつくりたいと思い、働いていた会社を辞めました。それから転職先を探していた2008年の頃に、父の設計事務所からパソコンのことで相談があり、それをきっかけにそのまま入社しました。
元々事業を受け継ぐつもりはなく、建築のことは全くわからなかったので、働きながら福井大学に社会人学生として建築を学びました。しかし、経営の部分で自分は役立てるのではないかと思い、2020年(当時38歳)になる時に、周りの会社も代替わりの時期に差し掛かろうとする中、早めに承継してしまった方がいいと考えました。
承継前からマネジメントや組織運営を行っていて、父に承継したいと伝えたところ、「わかった、やってみたら!」と、応援してくれたこともあってスムーズに承継できましたね。
社員さんたちの反応や、承継して取組んだことは?
社員のみなさんもいずれ後を継ぐのだろうと感じていたようで、驚きや戸惑いもなくスムーズでしたね。妻も社長を継ぐと決めた時には「がんばってね」と応援してくれました。
設計事務所としては、意匠と構造設計の両方をやっているのですが、構造設計の部門があるのは設計事務所の中でも珍しい方で、その強みを活かして、他の設計事務所から構造設計の依頼を増やしてきました。“メイド・イン・アーサ”から“メイド・ウィズ・アーサ”として、パートナーのような存在の設計事務所を確立してきています。意匠も行っているので、構造設計も意匠側の意図を汲み取って提案できることが強みです。
承継してよかったことは、家族と過ごす時間がつくれたことです。元々システムエンジニアの仕事を辞めたのも、その時間をつくりたかったというのもあります。社員にもその時間を大切にできる風土を会社でもつくりたくて、業務改善に取組んできました。設計事務所も夜遅くまで働くことが多いので、社員が早く帰れるようにするにはどうしたらいいかと考え、それまで担当に任せきりにしている体制から、チームで取り組む体制に変更しました。社員の精神的な負担も減りますし、お互いがサポートし合う意識をつくっていき、結果として仕事に専念することができ、19時頃には帰宅できるようになりました。
自分としては、パートナーの会社の役に立つためにといったことや、社員が気持ちよく働けるような、誰かの為に自分が動くという仕事のやり方が好きです。
経営者になった今、自身の変化や会社としての展望は?
承継して経営者になると、社員として働いていた時より、実行力をもてる幅が全然違います。社員の仕事の体制や環境を変えることについてもそうですが、よりクリエイティブに経営をすることができます。また、自分の成長につながっていることも、とても大きいことです。
他の設計事務所のパートナーという立ち位置から、大手ゼネコンからの依頼も増え、大阪・関西万博のUAEのパビリオンにも携わることができたなど、さまざまなチャンスや仕事の幅が広がってきています。
社内環境が整い、社員採用も行っています。今後社員も増やしていきながら、さらに意匠・構造のパートナーとして役に立てる機会を増やしていきたいです。