福井の水ようかんの食文化を県外へ発信。
久保田製菓 有限会社
代表取締役 久保田 晃仁さん
会社の事業について教えていただけますか?
祖父が昭和26年に甘納豆の専門店として創業してから、今年で75年になります。私で3代目ですね。主に菓子の製造卸・販売を行っています。 祖父の代から甘納豆と水ようかんは定番の商品として作り続けており、菓子の味も祖父の頃と変わらないように守っています。会社は、母・妹・妻・私の家族4人による経営で、水ようかんの繁忙期にはパートさんにも入ってもらっています。
家業に入られる前はどのようなお仕事をされていましたか?
家族から「家業を継いでほしい」という話は特になかったのですが、自分としてはいつか引き継ぐつもりでいました。母からは「自分の好きなことをやりなさい」と勧められたこともあり、介護について学校で学び、県外で2年ほど介護職に就いていました。
しかし、高校時代に2代目だった父が早くに亡くなり、その後は祖父と母が中心となって事業を続けていたのですが、私が介護の仕事をしていた時期に祖父も亡くなり、事業の継続が難しくなりました。これまで続いてきた祖父の水ようかんが途絶えてしまうのはあまりに忍びなく思い、21歳の時に家業に就く決断をしました。それから7年ほど現場で働き、28歳での結婚を機に代表取締役に就任しました。
事業承継されてから取り組んだことや苦労した点は?
介護職から菓子製造という全く違う分野への転身でしたが、子供の頃から手伝っていたこともあり、仕事自体にはスムーズに移行することができました。
ただ、家業に入った当時は、営業の経験もなければ相談できる相手もいないという不安がありました。経営状況にも課題を抱えていたため、それをどう解決していくかということには非常に頭を悩ませました。
そうした中、福井県の事業で東京ビッグサイトの「スーパーマーケット・トレードショー」に出展する機会をいただきました。そこで県外のスーパーや百貨店から好評をいただいたことで、県外との取引が始まりました。それからは口コミで取引先が増え、売上が3倍になったことで、経営課題も解決できるようになりました。
また、製造工場に直接買いに来てくださるお客様もいらしたので、補助金などを活用して店舗を新設したり、ロゴマークを新しくしたり、オンラインショップを立ち上げたりと、段階的に体制を整備してきました。
今後の展望をお聞かせください。
ありがたいことに、お取引先からの注文も多く、今の工場では手狭になってきているため、工場の再整備を考えています。味や作り方は変えずに、生産効率を向上させて出荷数を上げていきたいです。 また、水ようかんは福井の冬の楽しみとして定着している食文化です。取引先からは「通年で提供できないか」というご要望もいただきますが、私としては、この福井らしい食文化を大切に受け継ぎ、県外へと広めていきたいという思いを強く持っています.