地元食材を使った商品開発で地域に貢献。
いのうえ 株式会社
専務取締役 井上 才蔵さん
会社の事業について教えていただけますか?
1927年に創業し、もうすぐ100年になります。曽祖母が永平寺の門前で飲食店を始めたのが原点で、かつて京福電鉄の永平寺線があった頃は、非常に多くの観光客で賑わっていました。祖父の代はいわゆるバブル期で、団体旅行バス専門のドライブインとして営業していました。当時は大型店舗でしたが、現在は建物を縮小・建て替えて今の姿になっています。
家業に入られる前はどのようなお仕事をされていましたか?
大阪の大学を卒業後、3年ほど化粧品OEMの会社で企画開発や営業に携わっていました。結婚を機に福井へ戻ってからは、医療機器の営業として3年勤めました。 親から「継いでほしい」と言われたことはありませんでしたが、私は長男ということもあり、自分の中で引き継ぐ決意を固めていました。医療機器会社での仕事に一区切りをつけ、次のステージに進もうと考えたのが、家業に入るきっかけとなりました。
家業に入られてから取り組んだことや苦労した点は?
観光客の方は、まず永平寺の参拝に向い、その後駐車場へ戻る道中でよくお土産を購入されます。しかし、永平寺に近い店舗ですでに買い物を済まされていることが多く、門前の入口に位置する当店ではなかなか購入いただけないという立地上の課題がありました。
そこで、わざわざ当店へ足を運ぶ目的になるような商品が必要だと考え、「永平寺だるまぷりん」を企画・開発しました。
販売を開始したのはコロナ禍の時期でしたが、遠出が難しい時期だったことも重なり、「地元の新しい手土産」として近隣のお客様が多く買いに来てくださいました。ありがたいことにメディアやSNSのインフルエンサーにも取り上げていただき、多くのお客様にご来店いただけるようになりました。
もともと幼い頃からものづくりが好きで、前職での商品開発の経験も活かせたのだと思います。現在は「永平寺だるまぷりん」のほか、「ふくのいも」「恐竜菓子店」を展開しています。「ふくのいも」については、冬場に観光客が減少する永平寺エリアの売上を安定させるため、JR福井駅との中間に店舗を構えました。現在はJR福井駅の「くるふ福井駅」にも出店しています。
今後の展望をお聞かせください。
「ふくのいも」には地元のさつまいもを、「恐竜菓子店」の商品には福井県産コシヒカリの米粉を使用するなど、地元の食材を使った商品開発にこだわっています。これらを通じて、少しでも地域活性化の役に立ちたいと考えています。ゆくゆくは農業にもチャレンジし、原材料からこだわり抜いたものづくりを形にするのが夢です。
また、三重県伊勢市の「赤福」が「おかげ横丁」を整備されたように、当社も「福井の赤福」のような存在になることが目標です。永平寺の門前も整備が進んでいますが、もっと観光客の皆様に楽しんでいただける場所にしていきたいです。また将来的には、地元でしかできない体験と宿泊を組み合わせた新たなビジネスも実現したいと思っています。